2012年5月3日木曜日

水田と太陽光パネル

米の平均収量は、10a(1000㎡)あたり523kg 。
水稲10a当たり収量 :農林水産統計(2008)より)
60kgあたりの集荷価格は10,000円前後。
米穀データバンク

つまり日本の水田1000㎡は、年に約87万円を生み出す。

いっぽう、同じ土地に太陽光発電パネルを並べたとする。
この資料によると、
現行の家庭用太陽光発電では、
一日3時間弱=年間1000時間の晴天を想定すると、
ピーク1kWのシステムで約1000kWhの電気が生産される。

一般家庭での消費電力量約4000kWh/年を生産するには、
約30㎡のパネルを屋根に置けばよい、とのこと。
現行の電気代20円/kWhで換算すると、30㎡で年8万円が生まれることになる。

つまり太陽光発電パネル1000㎡は、年に約264万円を生み出す。

ということは、
現行の家庭用太陽光発電のレベルであっても、
コメを作るより、電気を作るほうが、
儲かる可能性があるのではないか。
農業機械を買って汗水垂らして田んぼを耕すよりも、
パネルを設置して、後は毎日寝て暮らすほうが有益、
ということになる。

ステキな世界である。


いま経産省がいう42円/kWhなら、収益はもっと高額になるが、
後から改定される可能性も高いので、あまり信用できない。
逆に、事業用のグリッドパリティ水準 7円/kWhなら、稲作とかなり近い。

なお、初期投資を無視してるのはもちろん問題だけど、
  • 太陽光パネルの価格は下落中で、設置条件により大きく異なる
  • 農業のほうも初期投資を無視している
  • そして双方に複雑な補助金制度がある
ので、まずはあえて無視してみた。



初期投資は、超ざっくり計算だと、家庭用システム1kWあたり55円(価格コム)。
すると1000㎡=132kWなら7260万円。これは家庭用小規模の価格。
あとは、これよりどれだけ安くできるか、
そして、補助金がどうなるかに、大きく依存する。

もし、42円/kWhの買取が続けば、
あるいは、家庭用と同等に補助金がおりて自己負担が70%ぐらいですんだりすれば、
土地と資本が用意できる人にとっては、相当儲かるんでないの。

個人的には、この試算結果はショックで、
計算があってるか、および、その意義は何かについて、まだあんまり自信がない。
投資額・発電量については、悲観的すぎる気もする。
そもそも根本的に桁をまちがってたり恥ずかしいミスをしてる可能性もある。

上記が正しく、市場参加者もそれを知っていて、
かつ、参入してないのだとすれば、
考えられる理由は、
  • 太陽光パネルの値下がりペースが激しい
    (=早期参入すると競争に負けることが予測される)
  • 政府が補助金制度にコミットしていない
    (=打ち切りが予想されると参入しないのはもちろん、
      逆にもっと有利な条件が出る可能性があっても参入を思いとどまる)
  • 農地転用規制などで、平野部の用地取得が難しい
  • その他、よくわからないコストがある
てなところか。

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